天神学園の問題児再来
「何故俺に付き纏うのだ、貴様は」

狂奏丸を正眼に構え、真太郎は振り下ろす。

紫陽花には背中を向けたまま。

「夕城流と柾一刀流は、言うなれば敵だ。敵である俺の修行を覗き見て、柾の宗主である鳳仙花にその技を報告する間者か?あの半人前に俺の技を伝えて、有利に働かせる為か?」

「患者?」

「患者ではない、間者。今風に言うなら『すぱい』という奴だ」

「違うよお、スパイなんかじゃないよぉ」

紫陽花は頬をプクッと膨らませる。

「……」

些か口が過ぎたか。

詫びこそしないが、真太郎は口を慎む。

悪気はないものの、つい余計な事を言ってしまうのが真太郎の悪い癖だ。

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