天神学園の問題児再来
龍虎軒から歩いて10分ほどの場所に、小ぢんまりとした道場が存在する

夕城流や琴月流の分家道場にも劣る、ボロボロの剣術道場。

紫陽花の住む柾家自体は一般的な家なのに、敷地内にある道場だけは、やたらとお粗末な作りだった。

「稽古の時に派手に壊して、直さないままだから、こんなんなんだよ」

紫陽花が頬をプクッと膨らませた。

そんな彼女を先頭に、龍馬は柾家の道場へと入っていく。

「お父さーん、龍馬連れてきたよー」

道場内に向かって紫陽花が声をかけると。

「やあ、来たかい」

そこには1人の優男が背を向けて正座していた。

上等な絹の着流し、剣客とは思えぬ色白、傍らには真剣らしき日本刀を鞘に納めて置いてある。

長い黒髪を元結で括った男。

彼が柾一刀流開祖にして紫陽花の父親、柾 鳳仙花であった。

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