天神学園の問題児再来
噴き出す流血、飛び散る血飛沫!

「ぬぐ…!」

何もできぬまま、胸に傷を負って真太郎が片膝をつく。

「真太郎君!」

「騒ぐな紫陽花…深手ではない…」

声を上げる紫陽花を制し、立ち上がる真太郎。

しかしよもや、先制を命中させるのが龍馬とは。

真太郎ほどの剣客が、防御も回避も出来なかった。

まさしく確実に決まれば二之太刀不要。

これが柾一刀流奥義。

これが蜻蛉の構え。

至極単純な振り下ろしでありながら、極めればこれ程の威力を発揮するとは。

龍馬は蜻蛉の構えを習得するまで、それ以外の小技を何一つ稽古しなかった。

ひたすらに愚直に、蜻蛉の構えの振り下ろしばかりを繰り返してきた。

その反復練習の成果が、生粋の剣客である真太郎に片膝をつかせるまでに至ったのだ。

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