天神学園の問題児再来

「妾も豆助の意見に同感じゃ」

紗雪は歩を進める。

「龍鷺郎の向かった天神学園におるという西洋じゃか欧州じゃかの吸血鬼もそうじゃが、亜鳥殿の前の代の天神地区に出没しておったという吸血鬼…あ奴も近頃再び現れるようになったというではないか」

元人間でありながら、吸血鬼の力を得て暗躍する黒爪の噂は、妖怪達の耳にも届いていた。

「知っておるか？あの吸血鬼は臥龍の力を求めて、お主達の兄である夕城 龍之介を狙っていたそうじゃ。ならば同じ臥龍の血を引くお主らが、命を狙われても不思議ではない」

嘗て太古の天神地区を火の海にしたという臥龍の力は、今も天神地区では伝説や神話の類であり、その超越した力を欲して、人間やそれらと友好を結ぶ人外に仇なす者達が水面下で蠢いている。

「斑鳩も龍鷺郎も、せいぜい気を付ける事じゃ。妾には関係のない事じゃがの」

フフン、と目を細めて笑う紗雪。