天神学園の問題児再来
仲間達が宿泊しているヴィラ付近の岩場。

打ち寄せる波をボンヤリ見つめながら、龍馬は座っている。

腰にも、手にも、刀はない。

折れた陸奥守は、部屋に置いて来ていた。

今の龍馬は剣客ではない。

ただの丹下 龍馬に過ぎない。

茫洋と海を眺める日々は、5日目になっていた。

日々打ち込んできた修行によって滲み込ませた技の数々を、体が忘れてしまうのではないか。

そんな心配さえしてしまう、空白の時間。

そんな龍馬を。

「…そうか」

龍鷺郎は桟橋の先端に寝そべりながら見ていた。

「愛刀をな…それで呆けてたって訳か」

「ずっと修行を共にしてきた、龍馬の愛刀なの。素手で戦う龍鷺郎には理解し辛い事かもしれないけれど」

マテバとアルトゥルスをガンスピンさせ、クイック&ドロウ(早撃ち)の反復練習を繰り返しながら花龍が言う。

「私だって震えが来る。この手から、マテバとアルトゥルスの2挺ともなくなると考えたら…」

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