天神学園の問題児再来
生憎と紫陽花は水着姿、スマホは持ってきていない。

真太郎もまた、スマホは持ち歩いていない。

橘リゾートにいる仲間達とは連絡が取れないという事だ。

「仕方ないなぁ…めんどいけど、泳いで戻ってくるよ。また舟で迎えに来るね」

バシャバシャと海の中に入っていく紫陽花。

泳ぎは達者なようで、以前この離れ小島にまで泳いでやってきた事もある。

しかし。

「止せ」

真太郎は紫陽花の手を摑んだ。

「盆を過ぎれば、海も波が高くなる。以前来た時よりも潮の流れが速い。万が一の事があれば命に関わる」

「え、大丈夫だよ。私、泳ぎは得意で…」

「やめておけ」

真太郎は紫陽花の手を放さない。

「頼むから、やめてくれ」

「し、真太郎君がそこまで言うなら…」

真剣な真太郎の表情に頬を染めながら、紫陽花は海から上がった。

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