天神学園の問題児再来
驚いて、真太郎の肩越しで目を丸くする紫陽花。

まだ瞳は濡れている。

「黒爪に初めて敗北した夜…お前もこうして俺を抱き留めてくれただろう」

真太郎は言う。

「孤独に潰されそうだったあの夜、お前は俺をこうして繋ぎ止めてくれた。既に限界で崩れ落ちそうだった俺を、お前は何とか持ち堪えさせてくれた。あの夜があったからこそ、俺はこうして極意を習得するまでに至った」

照れ臭くて顔など見れない。

だが。

「迷惑などと思った事はなかった。夕城流を破門になり、天神学園に1人で放り込まれた時から…お前は唯一の心の拠り所だった…だから泣くな」

真太郎は、訥々と言葉を紡ぐ。

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