天神学園の問題児再来
整列した生徒達は、開会式の長い挨拶に退屈そう。

「早く始まらねぇかな、こんな長話より、さっさと競技したいよ…」

欠伸を堪えるシオン。

「ん?龍鷺郎は?」

龍馬がキョロキョロと見回す。

「こういうのは、かったるいからサボリだって。競技始まったら呼んでくれって言ってた」

苦笑いする紫陽花。

と。

「龍鷺郎はいつもそうじゃからな」

整列している列の後ろの方から声。

振り向くと、紗雪がこちらを見ていた。

彼女も龍馬達と同様、今日は体操服。

胸には『さゆき』と平仮名で書かれている。

何故ここの生徒は、名前を漢字で書かない?

「紗雪ちんだったよね、龍鷺郎の友達?」

ニパッと笑う紫陽花。

「友達などではありませぬ、奴とは犬猿の仲ゆえに…しかし先輩方に、奴は迷惑かけておらぬかえ?」

同じ妖怪、同じ同盟の一員として、人間に面倒をかけていないかと気遣う紗雪。

こういう律儀な所は、父の防人似か。

「大丈夫だよ。それより紗雪ちゃんも体育祭頑張ろうね」

花龍の言葉に。

「うむ、豆助言う所の天使様じゃな。お互い頑張りましょうぞ」

笑顔で答える紗雪。

「天使様…?」

花龍は、こてんと首を傾げた。

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