天神学園の問題児再来
大方の予想を裏切る大番狂わせ。

紗雪は妖怪の身体能力を利用して100メートルを駆け抜け、龍鷺郎はスタート地点で這い蹲るだけの結果となった。

「く…」

ようやく立ち上がった龍鷺郎は、己の足元を見る。

…凍っていた。

スタート直前、紗雪は己の冷気で龍鷺郎の足元を凍らせた。

龍鷺郎は文字通り、足元を掬われたのだ。

「俺は『妖怪らしく』1発勝負で決めろと言った筈だ。ならば泣きの2回目なんぞは認めんぞ」

龍鷺郎を見下ろすヴラド。

『奇策を使った紗雪ではなく、気付かなかったお前が悪い』

彼は暗にそう言っていた。

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