天神学園の問題児再来
「ちと…卑怯な手ではあったがの…」

ゴールから戻ってきた紗雪は、少し申し訳なさそうな顔をしていた。

冷気で足元を掬ってスタートの邪魔をする。

言葉にすれば、些か汚い手段のようにも思える。

が。

「いや…」

龍鷺郎は反論しなかった。

それ以上は言葉もない。

龍鷺郎とて、己の妖怪としての能力である時凍えを使おうとしたのだ。

紗雪が己の能力である冷気を使っても、卑怯でも何でもない。

ヴラドの言う通り、気付かなかった龍鷺郎が悪い。

驕りだったのだ。

冷気ではなく、臥龍と鴉天狗の血を引いているという慢心が、龍鷺郎の足元を掬ったのだ。

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