天神学園の問題児再来
もう片方の手には、一升瓶の日本酒。

男はその酒を、墓にたっぷりと注ぐ。

「酒なんて何年ぶりだろ、旦那」

言いながら、一升瓶の半分以上を墓に注いだ男。

彼は墓前にドッカと胡坐をかき、残りをラッパ飲みした。

…この世に生を享けた以上、やがては死に、土に還る。

この世の理。

とはいえ、あれ程の男が逝く事は、悲しくもあり、切なくもある。

夕城 翡翠がいなければ、男は大成しなかった。

恩義と言うなら余りある大恩がある。

こんな安酒では感謝し切れぬほどに。

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