天神学園の問題児再来
有無を言わさぬ破壊力。

鬼神の如くリングに立つ龍馬に、真太郎は父を見た。

父、夕城 瑠璃。

その立ち姿は、対峙しただけで畏怖させる。

圧倒的な『死』を叩きつけられたようにさえ思う事がある。

殺そうとはしないが、この人は殺そうと思えば殺せるだけの技量を持っている。

そう思わずにはいられない。

瓜二つとは言わないが、龍馬には同じ気質を感じた。

何れ龍馬は、そういう剣客になるだろうと思わせた。

だが。

「…夕城の子は俺だ」

真太郎は立ち上がる。

「俺が夕城 瑠璃の子だ。貴様ではない」

「…よう言うたがじゃ」

その言葉を、龍馬は嬉しく思う。

真太郎との初めての出会いの時、彼に対する印象は『野犬』だった。

牙は鋭い、動きも俊敏、獰猛さは掛け値なし。

しかし全てが軽い。

見せかけだけの強さと感じた。

上辺だけの強さだと。

尤も、その頃の龍馬は、その野犬よりも遥かに弱かったが。

時を経て、今。

真太郎は『野犬』から『狼』となり、『猛虎』となり。

今は…。

「お前は百獣の王…いや…」

龍馬は表情を引き締める。

「鬼や羅刹をも総べる、三面六臂の阿修羅の筈ぜよ…」

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