天神学園の問題児再来
「邪魔などしませぬ」

頬を傷つけられ、氷壁を打ち砕かれ。

それでも紗雪は、微笑んだ。

「同じ夢を持つ同胞です…誰が邪魔などしようか」

「まだ同胞と言うか」

「同胞じゃとも…妾はもう降参する故…」

そう言って、紗雪は無防備に背を向ける。

ゆっくりと歩きながら。

「ヴラド先生…1つ頼んでよろしいじゃろうか」

「知らん。勝手に頼むな」

そんなヴラドの言葉を無視して。

「王になるついででよいので…妾達の同盟も、その理想郷に加えてもらえぬか…人外だけではない、全ての種族が穏やかに暮らせるという、その壮大な理想郷に…」

「…ついでにな」

ヴラドは鼻を鳴らした。

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