天神学園の問題児再来
「それでは、準決勝第1試合…」

鬼龍が手を掲げた。

「はじめアルッ!」

合図と共に、試合が始まった。

ランスロットを抜くシオン、ハンドポケットのままの龍鷺郎。

シオンは龍鷺郎を見据えたまま、動かない。

彼の時凍えは警戒だ。

シオンの精霊憑依以上のスピードで動く厄介な技。

今大会最速のスピードスターは、紛れもなく彼ら臥龍の息子達だろう。

「まずは…試してみるか」

素のままの身体能力で、龍鷺郎のスピードに敵わないのは分かり切っている。

「シルフ」

シオンは風の精霊シルフを召喚し、その力で速度上昇の能力を付加する。

精霊憑依ではないので、魔力の消耗は僅かだ。

その状態で。

「いくぜ!」

最も隙の少ない、刺突で仕掛ける…ものの。

「こっちだ」

「!?」

仕掛けるどころではない。

シオンが刺突の構えをとった瞬間に、龍鷺郎は既に背後に立っていた。

「俺が時を凍えさせた」

咄嗟に振り向くものの。

「オラァッ!」

龍鷺郎の拳が、シオンを吹き飛ばす!

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