天神学園の問題児再来
「真太郎君!」

思わず声を上げたのは紫陽花。

(そんな…)

横目で想い人を見ながら、真太郎は心中呟く。

(そんな顔をするな…)

川蝉を握り締め、思う。

あの女は、どれだけ自身を気にかけてくれていたのか。

反発し、反逆し、振り向きもせず、常に背中を向けていた自身から、絶対に目を背けたりしなかった。

『困った事があったらなんでも言ってね』

そう呟いてはにかんだ、可憐な6月の花。

(お前がそんな顔をしたら…)

もう一度、川蝉を握り締めて。

「俺は奮起せざるを得ん!」

真太郎は、追撃を繰り出そうとしたシオンの胸板を瞬斬する!

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