天神学園の問題児再来
乱れ斬り、とでもいうべきか。

複雑な軌道を見切りも防ぎも出来ず、真太郎もまた為す術もなく斬られる。

だが。

「ぬぅぅぅぅっ…!」

倒れない。

歯を食い縛り、踏ん張る。

踏ん張って言う。

「なぁに…この程度の斬撃…柾一刀流の方が強烈だった…なぁ紫陽花」

「っ!」

口元を押さえ、紫陽花が、ぶわっ、と涙を溢れさせる。

この男は、この期に及んで、想い人を気遣うのか。

己が切り刻まれながら。

「お前のも」

シオンが言う。

「お前のも、守る剣なんだな、真太郎…紫陽花を守る剣だ」

「守る剣…俺のが」

シオンに言われ、手の中の川蝉を見つめる。

…遠き日に見た、大きな祖父の背中。

晩年は色さえ失っていた眼だが、いつ見ても畏敬の念を覚えるものだった。

あの人の愛刀は、見る者全てを刻む鬼の剣だと思っていたが…。

「大奥様を、父らを守っていた剣なのだな…」

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