天神学園の問題児再来
目を閉じる。

嗅覚、聴覚、触覚、全てを働かせ、総動員で行方を探す。

…禿鷲の気配は感じられない。

龍鷺郎は目を開け、小さく溜息をついた。

この雑音のない鴉丸の城近隣からでも居場所を感じ取れないとは。

禿鷲は、この国にはいないのかもしれない。

何処まで逃走したのか。

何処で何を企てているのか。

誰かと一緒に居るのか。

その誰かは、黒爪なのか。

全く分からない。

「うんざりだぜ」

いつもの台詞を口にしたところで。

「兄貴~」

弟の斑鳩が、龍鷺郎を呼びに来た。

「準備整ったってよ。行こうぜ兄貴」

「…うんざりだぜ」

龍鷺郎はもう一度呟く。

「喧しいのは御免なんだがな」

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