天神学園の問題児再来
「何…」

真太郎の眉尻が動く。

「痛みが分からんもんが握る刀は…武士の魂などではなく…ただの凶器じゃ…」

龍馬は続けた。

「野良犬は斬らんでも、わしに敵意がない事を分かってくれたがじゃ…それを貴様は斬れ、何故斬らんがかと問う…貴様はまっこと馬鹿ぜよ」

「俺を愚弄するか、半人前が」

「じゃから貴様は剣客以下と言うたがじゃ!」

吠える龍馬。

「っ……!」

刀もまともに扱えない、野良犬すらまともに斬れない男に、真太郎は気圧される。

正当な夕城本家跡継ぎでありながら、野犬を斬った、ただそれだけの理由で夕城流を破門になった男が。


< 87 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop