天神学園の問題児再来
そんな労もあって、シオン一味は無事、大陸へと到着した。

修学旅行のスタート。

「といっても、しおりも移動用のバスもない…宿泊先も自身らで決めなければならない…何故僕がこんな難儀な目に遭わなければならないんだ。妖怪風情の為に」

眼鏡を中指で押し上げながら、露骨に嫌そうな顔をする紅葉。

「おい紅葉」

真太郎が、邪眼でギロリと睨む。

「口を慎め。天神学園にいる以上、どんな種族人種だろうと仲間だ。蔑視はやめろ」

「フン…」

気に入らなげに鼻を鳴らす紅葉。

その一方では。

「どことなく懐かしい感じがするなあ…」

フラフラと、ほむらが歩み出ていた。

視界を遮るもののない地平線も、埃っぽい空気も、遠く聞こえる風の音も。

「何だか昔経験した事があるような気がする…」

燈を片手に、ほむらは不思議と安心感を得ていた。

< 882 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop