天神学園の問題児再来
「気配を探ればいいだろう」

紅葉が言う。

「人間よりも優れた能力を持つ人外様だ。その程度造作もないだろう?」

その言葉には、どこか侮蔑の色が籠っているが。

「…数多くいるのは人間だけじゃねぇ」

龍鷺郎は挑発に乗らず、紅葉に答えた。

「祖母から聞いたんだけど、この国には志怪・伝奇・神怪小説、説話、民間伝承の怪異・妖物だけでなく、場合によっては神話上の怪物、神獣、霊鳥、瑞獣、神格化された神話的人物や神仙なども含めて数多くの人外が存在するの。日本に存在する妖怪の中にも、この国生まれのものが少なくないって」

花龍が説明する。

それ程の数が存在するのだ。

気配を辿るにしても、そう容易い事ではない。

「こうしていても」

紗雪が微かに鼻を鳴らした。

「遠く方々から、『人間ではないもの』の体臭があちこちからするのじゃ」

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