天神学園の問題児再来

妖怪、色を好む

大陸は人外発祥の地。

それだけに、過酷な自然条件も少なくない。

「ふえ~っ!」

紫陽花が情けない声を上げる。

砂埃を上げて吹き荒ぶ激しい突風。

自慢の黒髪が台無しだ。

「紫陽花」

真太郎が学ランを脱ぎ、紫陽花の頭に被せた。

「これで少しはマシだろう。砂が目に入らないように気を付けろ」

「えへへ、真太郎君優しー♪」

真太郎が気遣う紫陽花の瞳は、猫の目のようにくるくると表情を変える。

真太郎は、この瞳が好きだった。

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