天神学園の問題児再来

大陸の悪神

日が昇る頃、風は強く吹き荒んでいた。

吹き飛ばされそうになる学帽を押さえ、長ランの裾をばたつかせながら、前のめりになって龍鷺郎は荒野を歩く。

「ひゃっ…!」

荒れた大地に足を取られたのか、それとも風に体勢を崩したのか。

紗雪が転倒しそうになるが。

「おい」

咄嗟に龍鷺郎がその体を支えた。

「気を付けろ。まだ道程は長いぞ」

「う、うむ…すまぬ」

龍鷺郎の手を解き、姿勢を戻す紗雪。

…いつもの憎まれ口がない。

やはり堪えているのか。

この過酷な環境を進む事、そしてたった3人で旅を続けるという事が。

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