天神学園の問題児再来
姦しい2人の会話を背に、やれやれといった表情の龍鷺郎。

相変わらず風は強く、砂粒が龍鷺郎の頬を叩く。

その風に乗って。

「……!」

漂ってくる、強い殺意。

「紗雪!ほむら!立て!」

龍鷺郎が突然鋭く叫ぶ!

「ぬかった…!」

強い風、砂埃の中の視界。

悪条件が重なっているとはいえ、こんなに接近されるまで気が付かないとは。

龍鷺郎の頬に汗が伝う。

視界の悪さに紛れて、眼光だけが見え隠れしていた。

獣の姿。

しかし、こんな獣がこの世にいるものか。

荒野を徘徊する狼の類ではない。

生き物ですらない。

龍鷺郎達に近付いているのは、そういうものだった。

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