天神学園の問題児再来
大きな犬の姿をした渾沌(こんとん)、羊身人面で目が脇の下にある饕餮(とうてつ)、翼の生えた虎・窮奇(きゅうき)、人面虎足で猪の牙を持つ檮杌(とうこつ)で、四凶は構成される。

その名の通り、四柱の禍々しきもの。

日本にもいるような、祟りを及ぼすような存在。

ぬめりけのある、粘着質な眼が龍鷺郎達を睨め上げる。

「竜生九子が語っていた、日ノ本の人外とはこいつらか」

饕餮が、龍鷺郎の鼻先にまで顔を近づける。

人面でありながら、その顔に目だけがない奇怪な姿。

見れば脇の下から、眼がこちらを食い入るように見ている。

「女だ、女がいる」

鼻を鳴らすのは渾沌。

犬がやるような仕草だが、その身の丈は仔牛ほどもある。

「人間の匂いではないな、お前何だ、人か、人外か」

せり出した猪の牙から涎を垂らしながら、檮杌が言う。

「何でもよいわ」

気が付けばほむらの背後から、窮奇が大きく口を開けて近付いていた。

「食おう」

< 937 / 1,120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop