天神学園の問題児再来
「おらぁっ!」

即座に振り向いた龍鷺郎が、拳を放つ!

ほむらを食おうとした窮奇に、強烈な一撃!

の筈が。

「ぐうっ!」

龍鷺郎の拳は躱されたばかりか、二の腕を鋭利な何かで切り刻まれ、血飛沫を上げていた。

「おやあ?」

腕から滴る血を舐め取りながら、渾沌が笑う。

近くで見ると、その姿は更に醜悪だった。

犬のような姿で長い毛が生えており、爪の無い脚は熊に似ている。

目があるが見えず、耳もあるが聞こえない。

犬の顔だというのに、不気味にニヤついている。

その名の通り混沌(カオス)を司どり、善人を忌み嫌い、悪人に媚びるという渾沌。

「小僧、お前は善悪どっちだ?」

渾沌は龍鷺郎を嘲り笑う。

「近付くな!」

傷ついた腕で、渾沌を追い払おうとする龍鷺郎だが。

「その腕いらんなら」

饕餮が腕に食らいつく!

「ぐぅぅぅぅっ!」

「もらう」

饕餮の『饕』は財産を貪る、『餮』は食物を貪るの意である。

何でも食べる猛獣。

それが臥龍の血筋だろうと、例外はない。

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