天神学園の問題児再来
「く…」

勝ち目がないのは分かり切っている。

そう思いながら、紗雪は六花を顕現させる。

「さ、紗雪ちゃん…」

ほむらは燈を抜かない。

抜けない。

抜刀すれば、すぐに攻撃対象にされてしまう。

それが怖かった。

しかし。

「ほむら先輩…」

紗雪は震えながら言う。

「願わくば…妾が食われている間に、龍鷺郎を連れて逃げて欲しいのじゃ…」

それは、悲壮な決意だった。

「せめてほむら先輩と龍鷺郎だけでも…シオン先輩達のもとに辿り着いてほしいのじゃ…」

己を犠牲にしてでも、仲間を守る。

それが、天神学園、シオン一味の精神。

その精神を。

「げひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

渾沌が嘲笑う。

「お前、善人だな!最も忌み嫌う善人だな!」

その牙が、ギラリと光った。

「決めた、まずお前を食い千切る」

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