天神学園の問題児再来
その瞬間だった。

縮地か。

紅葉は瞬く間にして紫陽花の眼前にまで接近し。

「!!!!!!!」

唇を奪った。

真太郎の眼前で。

紫陽花が拒絶する暇もなく。

強引に、口づけを交わした。

「いやっっっっっっ!」

しばしの呆然の後、強い拒否の言葉と共に紅葉を押し退ける紫陽花。

その瞳に涙を浮かべ、己の唇を拭う。

「これは前金だ」

紅葉は薄く笑った。

「僕が真太郎に勝った暁には、夕城流宗主の座と共に、柾 紫陽花、お前の身柄も貰い受ける。夕城流に嫁ぐという条件でな」

挑発したのも、それに紫陽花が乗ったのも、全ては紅葉の計算通り。

このまま、夕城流宗主の座も、紫陽花も、ひいては柾一刀流の看板も、全て紅葉が手中に収める。

史上類を見ない剣客として、紅葉が君臨するのだ。

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