天神学園の問題児再来
「そう思うのか」

真太郎は一歩踏み出す。

「何?」

「タイマントーナメント以前の俺が、何1つ手にしていない、全てを失った野良犬だったと思うのか」

もう一歩、踏み出す。

「何が言いたい!」

五重奏(クインテット)、琴月流音無家独自の連続斬りを放つ紅葉。

これを。

「!!!!!」

真太郎は瞬速の斬撃、細雪(ささめゆき)で相殺する!

「いや…確かに俺自身、そう思っていた時期もあった…天神学園に来た当初の俺は、周囲が見えていない馬鹿者だったからな…全てを失ってここに来たのだと…そう思っていた」

真太郎は川蝉を納刀し。

「!?」

パンッ!と一息の内に。

抜刀術を放ち、切っ先のみで紅葉の眼鏡のみを弾き飛ばす!

琴月流の鎮魂歌(レクイエム)にも引けを取らない抜刀術だった。

「だが違うのだ…失っていたと思っていただけ…俺は…紫陽花や、シオンや、龍馬…多くの仲間や先生方、そして両親にも見守られていた…立ち直る機会を与えられ、次期宗主の資質を問われながら、この学園で己を磨く時間を与えられていたのだ。何1つ失う事なくな」

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