天神学園の問題児再来
「血統という言い方が気に障るなら、こういう言い方はどうだ?」

禿鷲は紅葉を見た。

「選ばれた存在」

「……」

紅葉は振り向き、禿鷲を見る。

「俺もお前も、群れて騒ぐだけの有象無象ではない。無能な群衆を纏め上げ、率い、導く為の存在。それが一流派の頭領であったり、人外の世界を統率する支配者であったり、位置付けは違えど…我々はカリスマなのだ」

紅葉は知らない。

禿鷲が姿を晦ます前、彼の一人称は『僕』だった。

それが今では『俺』。

彼なりの、自己主張の強さの表れだった。

己をカリスマと評し、その他大勢とは違う、それらの上に立つ者と名乗る。

そしてそんな自分と紅葉は同じだと、彼の自尊心を擽る。

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