恋する5秒前~無愛想なキミと~
昨日の事を思い出すだけで胸が痛い。
早く一人になれる場所を探さなきゃ!
宛もなく走ってたどり着いた場所は隣の棟の図書室前。
ここは図書室へ用事がある生徒しか来ない場所。
ここでしばらくの間、本を読んで香奈が来るまで待つことにしよう。
廊下にペタンと座り込むと読みかけのページを開いて目を落とした。
走ってきたから息が上がって苦しい。
やっと落ち着いてきたと思っていたらこちらへと近づいてくる足音が聞こえてきた。
そして私の前で足音が止むと
「こんなところにいたのかよ」
「桜井君、どうして?」
顔を上げると額に汗を浮かべて苦しそうな表情をしている桜井君がいたんだ。
「なんで逃げるんだよ?」
桜井君は私に視線を合わせようとひざまずいた。