恋する5秒前~無愛想なキミと~
◇水族館デート
「えっ……マジで?」
「うん」
一学期の最終日。
終業式も終わり、部活へ行く前の彼を呼び出した。
あまり人が来ない音楽室で私は彼に返事を伝えたんだ。
「本当に俺で良いの?」
何度も念を押す王子様。
「私ね、ずっと考えてたんだ。好きだって告白されたらやっぱり嬉しいし、そう言ってくれる人と付き合えたら、きっと幸せだろうなぁって思ったの」
私が1週間散々悩んで出した結論。それは瀬戸君とお付き合いを始めると言うこと。
「そっか、それで俺と付き合う気持ちになれたんだ」
彼に付き合う理由を説明すると納得してくれたんだ。
「うん、そうだよ」
「そっか、付き合ってくれるのか……マジか」
何度もつぶやく瀬戸君。
「正直言って、俺、もうダメだとばっか思い込んでたから……マジで嬉しいんだけど」
サラサラのストレートの髪をクシャクシャッとさせながらはにかんだ。