恋する5秒前~無愛想なキミと~

瀬戸君、キミの甘いマスクにその笑顔は反則だよ。ドキドキが止まらなくなっちゃうから。


「俺、水野さんのこと大事にするし、ちゃんと守るから」


彼は私の肩に手を置くと、面と向かって言ってくれた。


「私も、瀬戸君が私のことを思ってくれてたでしょ?今度は私が少しずつ瀬戸君に思いを返すから待ってて」


私も周りの女子から批判されるのを承知の上で決めたんだ。


「あぁ、待ってる」


微笑む瀬戸君は、いつにも増して優しい笑顔を私に向けてくれたんだ。


「じゃあ、水野さん。今夜俺からLINEするから」


「うん。分かった、部活頑張ってね」


「……頑張るよ。水野さんも気を付けて帰って。じゃあ、なっ!」


「うん、また後でね」


陸上部の彼らしく足取り軽やかに音楽室を出て行ってしまった。


静まり返った音楽室。


外から部活の練習をする声が聞こえてくる。


これでいいんだよね?


自分の気持ちを確かめる。


さてと、一旦家へ帰ってそれから買い物にでも行こうかな?


私は音楽室を出ると自分の教室へカバンを取りに戻ったんだ。
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