恋する5秒前~無愛想なキミと~


「翔くーん、翔くーん!起きてぇーっ!」


2階でまだ寝ている弟の翔を起こしに行った未来。


「あのね、タマちゃんの彼氏さんが……」


興奮ぎみに話す未来の声が家中に響く。


「ちょっと、未来。朝っぱらからうるさいわよ」


2階で翔と一緒に騒ぐ未来を注意しようと階段を上がっていこうとする里美ちゃん。


「だって、タマちゃんが……」


言い訳をする未来と、彼女を叱る里美ちゃん。


2階から聞こえてくる声を遮るように玄関の呼び鈴を鳴らす音が聞こえてきた。


瀬戸君かな?


「はーい」


玄関のドアをガチャリと開けると


「おはよう、水野さん」


「瀬戸君、おはよう」


王子様こと瀬戸君が目の前に立っていた。


「どうぞ、中へ入って」


瀬戸君に玄関の中へ入るように促した。

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