恋する5秒前~無愛想なキミと~

「お邪魔します」


緊張ぎみに中へ入る瀬戸君。


「お母さん、瀬戸君が来たの」


キッチンで仕事をしている母親を呼ぶと


「タマちゃんの彼氏さんが来たのぉ?」


「姉ちゃんの彼氏って誰なんだよ?」


階段を転げ落ちるような勢いで、未来と翔が降りてきた。


ドタバタと騒がしい音を立てながら2人は玄関先までやって来た。


「あっ!」


瀬戸君を見て固まる2人。


「おはよう、未来ちゃんと翔君だよね?」


瀬戸君は王子様スマイルを振り撒きながら、固まる2人に声を掛けてくれたんだ。


「ほら、翔も未来も瀬戸君にごあいさつして」


私に促されて二人はペコンと頭を下げると


「おはようございます、弟の翔です」


「未来です」


挨拶もそこそこに2人ともリビングへと行ってしまったんだ。


「あ、ちょっと……」


呆気に取られている瀬戸君。


「朝から騒々しくて本当にごめんね。あの子達には注意しておくから」


「あ、あぁ……俺、気にしてないから」


苦笑いする瀬戸君に私はもう一度謝ったんだ。

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