恋する5秒前~無愛想なキミと~


「初めまして、環さんと付き合うことになりました、瀬戸亮太です。環さんと同じ高校に通ってます。よろしくお願いします!」


玄関先にやって来た母と里美ちゃんに挨拶をする瀬戸君。


「あらぁ、環にはもったいないくらい素敵な彼氏さんねぇ」


「ほんと、私が変わりに彼女になりたいくらいだわ」


爽やかな王子様スマイルに一目でやられてしまった母と里美ちゃん。


頬を上気させながら、私達が付き合うことにOKを出してくれた。


これでひとつクリアしたかな?


「じゃあ、お母さん。瀬戸君と出かけてくるね」


「気をつけて行ってらっしゃい。瀬戸君、環のことよろしくね!」


「はい、行ってきます!」


「良いなぁ、環。行ってらっしゃい」


母親達に見送られて私と瀬戸君は家を出たんだ。


今日のデート、楽しめるかな?


初めてのイベントに不安がよぎる。


「日曜日だから電車、混んでるかな?」


「まだ朝早いからそんなに混んでないんじゃないかな」


スマホで時間を確かめるとまだ8時前。


空を見上げると真っ青な青空がどこまでも続いている。


「暑くなりそうだね」


「あぁ、暑くなるな」


真夏の太陽を浴びながら私達は取りとめもない話をしつつ、駅までの道のりを歩き始めた。

< 118 / 297 >

この作品をシェア

pagetop