恋する5秒前~無愛想なキミと~
「やっと着いたね」
「ちょっと遠かったな」
瀬戸君と顔を見合せて笑い会う。
電車に乗って一時間近く揺られて着いたのは、大きな駅。
そこから徒歩で5分程歩いていくと、今度は大きな建物が見えてきた。
建物の入り口までやって来ると私は建物を見上げてつぶやいた。
「わぁ、大きな水族館だね」
「結構、でかいな。俺、もう少し小さい水族館だと思ってた」
想像以上の大きさに私達は圧倒されていた。
「暑いから早く中へ入ろう」
瀬戸君に促されてチケット売り場まで足を運んだ。
「学生2枚」
チケット売り場のお姉さんが彼に愛想笑いを振り撒き金額を伝えたた。
「……円です!」
財布をジーンズのポケットから取り出すとチケット代を支払ってくれた。
「後で私のチケット代を払うね」
「今日は俺から誘ったんだし、いいから」
「えっ、でも。ここ……」
そこから先が言えなかった。