恋する5秒前~無愛想なキミと~


「……さん、水野さん!」


「えっ、はいっ!」


不意に名前を呼ばれて大きな声を出しちゃった。


「次、行こうよ。ジンベイザメがいるんだってさ」


パンフレットを片手に持って案内してくれる瀬戸君。


「ホント?私、ジンベイザメ見たかったんだ」


「じゃあ、早く行こう!」


再び瀬戸君と手を繋ぎジンベイザメが泳ぐ水槽まで移動する。


「わあ、大きい」


「迫力あるなぁ」


目の前で悠々と泳ぐ2匹のジンベイザメ。


周りの人達もジンベイザメをバックにして写真を撮っていた。


「俺たちも撮ろうか」


「うん、撮りたい」


お互いのスマホで写真を撮り終えると


「すみません、写真を撮ってもらえませんか?」


瀬戸君は近くにいた母親らしき女性に声を掛けてくれた。


「いいですよ、はい、もう少し寄って……はい」


女性の掛け声に合わせて笑顔を作ると、フラッシュがたかれてしまい、眩さに思わず目を閉じそうになった。

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