恋する5秒前~無愛想なキミと~

「はい、ちゃんと撮れたかしら?」


苦笑いをしながら瀬戸君にスマホを返す女性に


「ありがとうございました!」


瀬戸君は爽やかに挨拶をすると頭を下げたんだ。


画像を確かめると


良かった!


ちゃんと撮れていたよ。


変な顔をしていたらどうしようかと心配してたから、先ずはひと安心。


「次は熱帯地方に住む魚だって」


「熱帯魚がいるのかな?キレイだろうな」


少しずつ人が増えてきたからか、人混みをかき分けるようにして瀬戸君の後を付いていく。


「混んできたな、俺から離れるなよ」


「うん」


手は相変わらず繋がれたまま。


時折、ギュッと握ってくる瀬戸君に私も同じように握り返していた。


お目当ての水槽までやって来ると


「俺、ちょっとトイレへ行ってくるから、ここで待ってて」


瀬戸君がいきなり言い出したんだ。
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