恋する5秒前~無愛想なキミと~
「隼人、隼人~、どこにいるのぉ?」
どこからか聞こえてくる女の子の声。
それと同時にパッと離れた桜井君の手。
「悪りぃ、邪魔したな」
それだけ私に言うと、桜井君はあっという間に行ってしまった。
「もうっ、隼人。どこ行ってたのぉ?探したんだからぁ」
女の子の声が私の耳にも届いてきた。甘えたような口振りで桜井君に話し掛けている。
この前、ファミレスで一緒にいた女の子かな?
守ってあげたくなるような、お人形さんみたいに可愛らしい女の子だったっけ。
仮にデートだとしたら、どうして桜井君は私の手を握ったりしたのかな?
私を困らせて内心は喜んでいるとか、?
だとしたら、今度は私が桜井君を困らせる?
ううん、彼はそんなことをする人じゃない。
この前、家に来たときは、私をからかいつつも未来や翔と一緒に遊んでくれたり、勉強を見てくれたり優しい一面を覗かせていたのに。
そんな彼が人を困らせるようなことをするのかな?
水槽を眺める振りをして考え込んでいると