恋する5秒前~無愛想なキミと~
同じ中学出身の陽子ちゃんは、おしゃべり好きで話し出すと止まらない。
情報通で色々と教えてくれて助かるときもあるけれど、急いでるときは困るんだよねぇ。
「走ってきたから疲れたよ」
苦笑いしながら香奈とこそこそ話してると、視線を感じて顔を向けた。
さ、桜井君。
彼は頬杖をつきながら私のことを見ていたんだ。
今、目を反らした?
私と視線が合うと桜井君はパッと教科書に視線を落とした。
さっき、ぶつかったこと気にしてるのかな?
だったら、授業が終わったらもう一度大丈夫だよって言わなきゃ。
私はまだ痛む左足を気にしながら
桜井君にどのタイミングで言おうか、授業そっちのけで考えていた。