恋する5秒前~無愛想なキミと~
◇小さな抵抗
「水族館、楽しかったね」
「な、さすが人気のある水族館は面白いな」
「私、白イルカが良かったなぁ」
「アイツら結構人懐っこいところがあるよな」
「そうだよね、水槽に顔を近づけたら、私たちのことを見てたよねぇ」
翔と未来へのお土産が入った袋を下げて水族館を後にした私達。
瀬戸君と、どの魚や動物たちが気に入ったのかお互いに話しながら駅までの道のりを歩いていた。
私のお気に入りは白イルカ。
日本でも白イルカが展示されているのはここの水族館だけみたい。
真っ白な体にプヨプヨとした柔らかそうなオデコ。笑っているように見える口元。その口から鳴く声も可愛くてたまらない。
ショーでも観客達に愛想を振りまいて皆の注目の的だった。
そして、未来へのお土産も珍しい白イルカのぬいぐるみに決定した。
私は瀬戸君と一緒にお目当てのぬいぐるみを探すため、店内をひたすら歩いて回ったんだ。
「色んな店があるから迷うなぁ」
文句も言わずに私に付き合ってくれている瀬戸君。