恋する5秒前~無愛想なキミと~

「この白イルカ、可愛い。見て!」


私はぬいぐるみを手に取って瀬戸君に見せた。


「俺にはよく分かんないけど、いいんじゃない?」


瀬戸君は少し照れたような表情でぬいぐるみを見ていた。


そうだよね、男子にはぬいぐるみなんて縁がないものね。瀬戸君に悪いことをしたかな?


4歳の女の子が持つのにちょうどいい大きさのぬいぐるみ。


ふわふわした感触と「かわいいっ!」ってギュッとして頬ずりしたくなるほど愛らしい姿をしているんだ。


これなら、未来も抱っこしながら寝てくれるかな?


「これにしようかな?」


私は白イルカのぬいぐるみを手に取ると


「瀬戸君、ちょっと待ってて。このぬいぐるみ買ってくるから」


店内には女の子のお客様ばかりで男性は瀬戸君と数人しかいないから、とても目立つ。


しかもイケメン王子様だからか、女の子は皆、商品そっちのけで瀬戸君の事をうっとりしながら見つめていた。


瀬戸君、居心地悪そう。


「お店の外で待っててくれるかな?」


私が気を使って言うと彼は……。


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