恋する5秒前~無愛想なキミと~
「ねぇ、どうして桜井のお兄ちゃんは未来の家に来ないの?」
「どうしてって言われても。なんで未来はそんなことを聞くの?」
「未来、お家に遊びに来てくださいってお手紙書いたのに……どうして来てくれないの?」
涙目で訴える未来。
そっか……そういうことだったんだ。
未来は桜井君が、また家へ遊びに来て欲しくて手紙を書いたんだ。
私が足を痛めて桜井君が家まで送ってくれたとき、一緒に遊んでくれたのがよっぽど嬉しかったんだね。
あの時は、桜井君にまとわりついて離れなかったもの。それくらい彼の事が気に入ってたんだ。
だから私に何度も確認してきたのか。
今までの未来とのやり取りを思い出す。
「桜井君はね、部活の練習を毎日しているから、とても忙しいんだよ。だから手紙の返事も出来ないし、未来の家にも遊びに来れないんだと思うよ」
「ずっと未来のお家には遊びに来れないの?」
「それは桜井君に聞いてみないと分からないけどね。今度会ったら聞いてあげるから……ねっ?」
未来の目線に合わせてゆっくりと説明したんだ。
ちゃんと話せば未来だって分かってくれるはず。
「だから、瀬戸君と付き合うことも許してくれるかな?」
「……タマちゃんがいいなら、いいよ」
そう言って首肯く未来。