恋する5秒前~無愛想なキミと~
良かった!
瀬戸君のことを認めてくれて。
安堵のため息をついていると
「未来、お風呂に入るよ」
里美ちゃんがリビングへ顔を出して未来を呼んだ。
「はあい」
「未来、これ」
紙袋からぬいぐるみを取り出すと
彼女の前に差し出しす。
「ありがと」
未来は小さな声で呟くとパタパタと足音を立てながらリビングを出ていったんだ。
「今日は疲れたわ」
お風呂に入り、リビングでファッション雑誌を読んでいると、里美ちゃんが肩を叩きながら入ってきた。
「未来はもう寝たの?」
「寝たわよ。布団に入ったら直ぐに寝ちゃったわよ。環からもらった白イルカのぬいぐるみを抱っこしてね」
「そう、ぬいぐるみと一緒に寝てくれたんだ」
「けっこう気に入ってるみたいよ」
「へぇ、最初はいらないなんて拒否してたのにね」
「子供って、急に機嫌が悪くなったり、良くなったりするからさぁ、振り回されるこっちの身にもなって欲しいわよねぇ」
苦笑する里美ちゃん。
「最近は環に家のことも未来の世話も押しつけちゃってて悪いなぁって思ってるのよ」
「そんな、悪いとは思わないで!私が協力したくてやっているんだし、家族なんだものそれくらい当然でしょ?」
「環……」
涙目になっている里美ちゃんと視線を合わせずに話を続けた。