恋する5秒前~無愛想なキミと~

家から歩くこと15分。


駅前にある図書館までやって来た。


「やっと、着いたぁ!」


図書館の自動ドアの前で叫び、ヘロヘロになっている翔。


暑い中歩き続けてきたせいで、私もクタクタ。


たった15分歩いただけなのに、私ってば体力なさすぎ。


「はぁ、涼しい……」


「ホント、涼しい。生き返ったわぁ」


「俺も疲れた」


一歩中へ入ると、エアコンの風が体に当たり、心地良い。4人でしばらく涼んでいると未来の額に汗がにじんでいるのが目に入った。


「未来、タオルで顔の汗を拭きな」


「うん」


汗を流す未来にタオルを渡した。


「小さい子は汗っかきだよねぇ」


香奈に言われて首肯く私。


「そうなんだよねぇ。夏は着替えも持って歩いてるんだから」


「そうなの?出掛けるとき荷物が増えて大変だね。じゃあ、今日も持ってきたの?」


「うん、まあね」


「大変だぁ」


驚く香奈にもう一度首肯く。子供連れて出掛けるのは色々と気を使うんだよね。


「姉ちゃん、俺、先に自習室へ行ってるから」


翔は宿題が入ったバックを手にしながら言うと、自習室のある2階へあっという間に行ってしまった。


「うん、分かった。私も後で行くから」


「じゃあ、環。私も自習室へ行ってるから」


「うん、了解。未来の本を選んだらそっちへ行くから」


「慌てて来なくても大丈夫だからね」


「ありがと、香奈」


私と未来は児童書のコーナーへ、香奈と翔は自習室へと分かれて行くことに。

< 148 / 297 >

この作品をシェア

pagetop