恋する5秒前~無愛想なキミと~

ーーあれ?


未来の姿がどこにもない。


先に自習室を出て行った彼女を追いかけて児童書コーナーへやって来た私。


座り込んで本を選んでいるのかと隅々まで探してみても彼女の姿はどこにも見当たらない。


おかしいな?


どこへ行っちゃったんだろう?


私は児童書コーナーを飛び出して他のコーナーへと足を進めた。


広い館内をキョロキョロと目を動かしながら、一つ一つの棚が並ぶ通路を確認していく。


ここにもいない。


あそこにもいない。


残るは奥の棚だけか。


キョロキョロしながら奥へと進んで行くと



「……水野?」


後ろから名前を呼ばれて振り向いた。すると、私の名前を呼んだのは


「さ、桜井君」


まさか、こんなところで会うなんて。驚く私に


「なにかあったのか?」


桜井君が私の異変に気づいて訪ねてきた。


「従姉の未来がいなくなっちゃったの。それで探してるんだけど、桜井君見かけなかった?」


すると、桜井君は髪をくしゃくしゃっと掻きながら……。

< 153 / 297 >

この作品をシェア

pagetop