恋する5秒前~無愛想なキミと~
「俺もさっき来たばっかだし、わかんねぇな」
そう答える桜井君。
「ありがとう、じゃあ、またね」
未来を探しに行こうとしたら
「待てよ、俺も探してやるから」
「えっ?いいよ。桜井君、用事があってここへ来たんでしょ?私一人で探せるから」
隣町に住む彼がここの図書館へやって来るくらいだから、きっと用事があるに決まってる。
関係ない桜井君にこれ以上迷惑を掛けられないよ。
やんわりと断ったつもりが。
「そんな顔をしてるの見たら、ほっとけねぇだろ」
私の頭をコツンと叩くと
「俺、2階を見てくるから、水野は児童書コーナーで待ってろよ」
「う、うん」
桜井君が2階へ移動しようとしたその時。
「お兄ちゃん、やっと見つけた!」
「うわっ!」
突然小さな塊が桜井君に体当たりしてきた。
桜井君にしがみつく小さな体は
「未来!どこへ行ってたのっ?」
未来だった。