恋する5秒前~無愛想なキミと~


桜井君、なんて応えるのかな?


その場で様子を伺っていると、


「ん、そうだな。俺も部活とか忙しいから今すぐには行けねぇんだ、ごめんな」


「……うん」


やんわりと断られて、ガッカリしたのか項垂れる未来。


未来には可哀相だけど仕方ないよね。


しんみりしたところに


「あぁ、こんなところにいた!隼人、どこへ行ってたんだよ、探したぞ。梁瀬が待ってるぞ」


「樹里が?」


突然現れた男子に言われて顔色がパッと変わった桜井君。


「ん、隼人。この人、誰?」


私の存在に気づいた男子が桜井君に確認している。


すると


「あー、同じ高校のクラスの奴」


ぶっきらぼうに応える桜井君。


私は会釈をして


「こんにちは」とひと言男子に挨拶をしたんだ。


この人、私達とは違う高校なのかな?


2人の会話を聞いてるとそんな感じがするんだけど。


「あっ!俺、挨拶をしてなかったよね?」


「えっ?……あっ、はい」


ニコニコ笑顔を絶やさずに話しかけてくる男子。人懐っこい雰囲気を漂わせている。


「賢司、いいから先に戻ってろよ」


ムッとした顔をしている桜井君。


「別にいいじゃん、自己紹介するだけなんだし、ね?」


私に同意を求めてくる男子。


なんて応えて良いか分からずにいると。
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