恋する5秒前~無愛想なキミと~

「餃子、焼けたよ」


リビングで遊んでいる翔達に声を掛ける。


こんがりと焼けた餃子をお皿に乗せて、テーブルの上に並べた。


「やった、餃子だ!」


「美味しそう」


ついさっきまで遊んでいた翔と未来が、餃子の焼けた香ばしい匂いにつられてテーブルの前に座った。


「美味しそうに焼けてるじゃない」


「そ、そうかな?」


「そうだよ、お店で食べる餃子みたいだよ」


「ありがとう。でも、ここまで焼けるようになるまでに何度も失敗したからね」


小皿を人数分テーブルの上に並べながら香奈に話す。


そうそう、一番最初に作ったときはひどかったっけ。


餃子の餡は固くて、焼いたら火加減が強かったのか焦げて真っ黒。


無惨な姿をした餃子を見た翔と未来には「いらない」って許否されるし。


責任とって自分で食べたけど、お腹は壊すし、散々な目にあったんだよね。


それからお母さんや里美ちゃんに餃子の餡を作るときのコツや、焼き方を教わって、何度も作ってみたんだ。


そして、今は上手に焼けるようになったんだ。


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