恋する5秒前~無愛想なキミと~
「ねぇ、環は料理が出来るから食に関する仕事なんか向いているんじゃない?」
「食に関する仕事?」
香奈から思いがけないアドバイスをもらったんだ。
「うん、調理師とか、栄養士とか食品会社に入るとかさ色々あるじゃない?」
「そうだね、考えてみると色々な仕事があるよね」
「環は料理をするのが好きでしょ?」
「うん、好きだよ」
気がつかなかったな。
今では料理を作ることは生活の一部になっていて、当たり前のようにこなしている。
いくら翔達のためでも、何度も失敗しても好きじゃなきゃ、ここまでは続かない。
好きな事を仕事にできたら、どんなに良いだろう。
自分の進路に悩んでいたところにひとつの選択肢ができた。
「ありがとう、大学をどこを受けようか迷ってたから、考えてみるね」
「うん、あっ!それよりもう餃子が無くなってる」
お皿を見ると餃子が残りひとつ。
「ごめん、香奈ちゃん。俺たち先に食べちゃった」
すまなそうな顔をして謝る翔。
「そんなにガッカリしないで、香奈。餃子はまだ沢山あるんだ。今から焼くからもう少し待ってて!」
「ありがとう、環。いくらでも待ちますから」
急いで餃子を焼く準備に取り掛かった。